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ゲンパロのつづき
さて、夜も更けて、滞りなくとはとても言えないが入浴を済ませた伊作である。
心地よさげにほのぼのとしている様子なので、留三郎がもう寝るかと声をかけると、うんと頷いた。
頷いたはいいが、留三郎が寝床の提供を申し出る間もなく、そのまま彼はいきなり何も敷いていないフローリングにごろんと横になった。
侮りがたい戦国の野性味を思い知る留三郎である。
(この時節、枕もなしに…よく眠れるもんだな)
しかし上掛けが着てきた装束だけというのは見ている方にも心もとない。
上から綿入れのブランケットを投げてやると、伊作はその下からもぞもぞと笑顔を出して礼を言った。
間もなく、部屋の明りが落ちる。
留三郎も寝床に潜り、体の温まるのを待った。
風音の中に、電車の走る規則的な鼓動が紛れている。
ベランダの向こうで、街はまだ眠らぬ気配のまま動き続けているのだ。
薄暗闇の中、留三郎は閉じていた瞼をあげた。
伊作のもといた時代の夜は、さぞかし静かなものであっただろう。
月と星のほか、夜を照らすものはなく、それがどれほど明るく思えたのだろうか。
(戦国時代か…)
切り捨て御免もハラキリ上等も一生涯お断りの留三郎であったが、それだけはどこか羨ましい気持ちがした。
台所の奥で、冷蔵庫が低く続いていた唸りを止める。
カーテンの隙間から路地の水銀灯は煌々とさし、遠いクラクションが窓の外の夜の中に、長く尾をひいて消えていった。
そして再び訪れた沈黙に、微かなため息がもれ聞こえて、留三郎は思わず伊作のほうを見た。
耳を済ませてみれば、身じろいでいるのか、微かな衣擦れも聞こえてくる。
眠りづらいのか、と、声をかけようとしたまさにそのとき、小さな独り言が耳に通った。
「なんと滑らかな床だ……」
留三郎は寝る体制を整えなおし、しっかりと瞼を閉じ、
「はよねろ」
と言ったが最後、とけるように眠りに落ちた。
長い一日が終わろうとしている。
脱力感とともに辿る夢路は存外、心地よいものであった。
タフデントの噛める喜び、みたいな感じで、書ける、喜び!
ばりばり書けるとか上手に書けるとかそういうんじゃないんですけど、書けただけでほっとしまする。
わーいわい。
18期やばいよね、もうやばすぎるよね。
泣くかとおもった。