忍者ブログ

[PR]

2025年07月01日
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

白妙に2

2009年01月09日
前回の記事に少し書き足しました。
そちらの続きがこの記事になります。


 深い眠りの中に沈んではいても、留三郎の体に染み付いた忍びの性は、急速に迫る殺気を無意識のうちに捉えていた。
 しかし、ゆるゆると覚醒しかけていたその意識は、扉を乱暴に叩く物音と怒号により一気に引き上げられることとなった。
 
「食満留三郎!いないのか!・・いや、いるな。ここを開けろ!」
 
 跳ね起きた途端、枕もとの刀を反射的に手に取るも、不意をつかれた驚きやら混乱やらで、正常な判断がつかない。
 状況が解らず固まる思考のまま、ようやく言葉が零れたが、それは自分でもあまりにも間抜けた声であったように思えた。
 
「せ・・・仙蔵・・か?」
「開けろと言っている!」
 
 借家の戸を蹴破らんばかりの剣幕に押され、慌てて芯張り棒を抜けば、黒ずくめの旧友は鼻息も荒く敷居をまたいできて、ぴしゃりと後ろ手に戸を閉め、ぎろりと辺りを見渡した。
 決して広いとは言えぬ留三郎の家の中は、きちんと整頓されてはいるが、普通の家では中々見かけぬような板切れや大工道具がひしめいており、実際よりもさらに狭く感じられる。
 再会の挨拶すら省略らしい仙蔵は、大きく息を吸い込むと、
 
「単刀直入にいおう。私は今、お前の敵だ」
 
 あまりにも明け透けに言い放った。
 
「・・・っ!そうじゃないかと思ってはいたが、やっぱりか。」

 思わず飛び出した留三郎の飾らぬ本音に心中でほくそ笑むと、仙蔵は勢いを殺さずに畳み掛ける。
 
「それを承知で提案だ。私と手を組め」
 
 それはもはや提案ではない、という言葉を留三郎はぎりぎりのところで飲み込んだ。
 双眸をぎらぎらと光らせて睨み上げてくる仙蔵に、四の五の言える隙などありはしない。
 それは有無を言わせぬ、絶対の命令だった。


******************

やったー
よかった、ここまで書けて。
 
これから少しペースは落ちます(なぜなら展開を考えていないからです)が、がんばります!
最後のシーンを書く為に!


 
 
PR
Comment
  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Trackback
トラックバックURL: