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2025年07月01日
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その日、僕は
2008年11月08日
オリジナルキャラクターの視点でお話が進みます。
抵抗の少ない種類のキャラクターだとは思いますが、ご注意ください。
抵抗の少ない種類のキャラクターだとは思いますが、ご注意ください。
時々こういう日がある。
遠くから来た沢山の人が道にあふれ、町は見知らぬ匂いのるつぼとなる。
そうはいっても、やっと数日間の出来事を覚えていられるようになった僕だから、これがよくあることなんだと気づいたのは最近のことだ。
草履や、緒太や、ときどき靴や。
そういう面白そうなものが目の前を次々行き過ぎるし、美味しそうな匂いもふんわか漂ってくる。
それで僕はつい、母さんの言いつけも忘れ、ふらふらと道のほうに迷い出てしまった。
途端、誰かに尻尾を踏まれて腰が引け、座り込んでしまったところを後ろから蹴飛ばされた。
あわてくって転げるように走っていたら、道脇の水路に落っこちてしまった。
僕が落ちた水路は、昨日の雨で水かさが増していた。
まっくらな中、流され始めた僕にはもう、どちらが上で下なのか、わからない。
叫ぼうと思わずあけた口から、どっと温い水が流れ込む。
もう駄目なのか。
そうおもったとき、何処からかあらわれた大きな手が、僕の首根っこをつかまえた。
そしてこれまでにないくらい、高く、高く摘みあげられる。
半狂乱になってあばれ、噛み付こうとするびしょぬれの僕を、その大きな人は懐に押し込めた。
暖かいその腹に思い切り噛み付いてみたけれど、何の反応もなく、着物の上から押さえ込まれてしまい、僕はすっかり大人しくなって、押さえ込まれたヘンテコな体勢のまま、その人が大またに賑やかな街道から遠ざかって行くのをぼんやりと感じていた。
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