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2025年07月01日
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冬を迎える 4

2008年11月06日

これも、やりたかったことの一つです。
大変すらすら書けました。
私が現在直面している問題でもあります。

 

「それで、文次郎はどうなったんだ?」
「知らん。そのまま置いて来たからな。」
「うひゃー。でも、相変わらず面白いなあ、文次郎は。」

 焼栗の甘く香ばしい余韻が、秋風にほどけていくのが清清しい。
 その栗は、話の肴にあっという間に食べつくされ、今は火鉢に散らばった栗の皮が、ぷちぷちと細い煙を立てるだけである。
 その脇で仙蔵の話にころころと笑う伊作の額には、爆ぜ栗にしてやられた赤い跡が目立った。

「伊作、一つ訊いていいか」
「何?」
「この庵だが・・・何故こんなにカメムシが多いんだ?」
「ああ。」

 伊作はぐるりと壁、天井を見渡した。
 あちこちに、爪の大きさほどの黒い点。
 もぞもぞと歩き、時折飛ぶ。

「毎年越冬の時期に集団で入って来るんだよね。この建物も古くて隙間だらけだからなー。」
「おい、頭にとまっているぞ・・」
「あ?大丈夫、むやみに触るよりは、刺激せずに置いた方が安全だよ。」
「・・・そうか」

 一匹や二匹ではないのだが。
 という言葉を飲み込んで、仙蔵は視線を斜め下に落とした。
 伊作の湯飲みの中で、何かうごめいているのは気のせいなのだろうか。


**************

気のせいじゃないですよ、きっと。
カメムシネタが多いのは、私が被害をこうむりすぎているからだと思います。
ごめんなさい。
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