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2025年07月01日
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放課後のつづき
2009年06月21日
です。
ドラフトですみません。
題名・・・・未定!
主題は竹谷の生物観、です。
ドラフトですみません。
題名・・・・未定!
主題は竹谷の生物観、です。
腹に響く滝の音は、ここから数町下流にある滝つぼからのものだろう。
清い奔流を分かつ平らな大岩に四肢を投げ出し、八左ヱ門は薄く瞼を開いた。
きらきらと、薄い翅を陽射しにきらめかせて青空へ舞い上がるのは、蜉蝣の群れ。
その短い命を懸けた彼らの飛翔は、一年のうちでもこの季節、この瞬間だけの風物詩でもある。
眩しさに目を閉ざすと、日に焼かれた岩の温みが、背からじわじわと身体に浸みて、八左ヱ門は浅いまどろみに誘われた。
時折瀬音にまじる、後輩たちのはしゃいだ 声が心地よい。
一際明るく響いた笑い声は、虎若だっただろうか。
(近頃、いい顔をするようになったよな。)
新緑も濃さを増し、そろそろ採集に良い季節だと思っていたところ、今日は丁度天気にも恵まれた。
そこで委員会全員で山へ繰り出したのだが、誰より生き生きと山野を駆け回り、三治郎と二人、次々と生き物を見つけていく虎若の姿は、数日前までとはどこか違っているように、八左ヱ門には映った。
(一年の頃、か・・・・)
今の虎若と同じく、八左ヱ門が初めて生物委員になった頃。
その頃から八左ヱ門は、生き物がただ生きている様を見ているだけで満足な性質だった。
八左ヱ門にとり、それは犬も毒虫も蛇も同等であったのだが、周りの同輩達は大抵そうではなかった。
危ないことや面倒なことの多い委員の仕事に辟易しているものも少なくはなく、そういった後輩たちによく先輩方は言い聞かせていたものだった。
「自分達で飼っている動物であろうが、利用するのが忍者というものだ。命あるものに出来ることをつくす、その習いを身に浸みこませるだけで、いつか一線を引かねばならぬそのときに、初めて迷いを捨てられる。」
と。
なるほど、先輩の言うことは全く正しいと、幼い八左ヱ門は至極納得したのだが、一方で心の中にはざらりとした違和感が残った。
そのことを、八左ヱ門は後々とりたてて悩むことはなかったが、代わりに違和感は違和感として、消えないまま今に至る。
「せんぱーい、そろそろ引き上げましょうかー?」
孫兵からかけられた声に、八左ヱ門はむくりと起き上がった。
――竹の虫かごを嬉しげにこちらへ振った孫兵が、委員会に入ってきたのは、今から二年前のこと。
生き物や虫どもを友として扱い、死ねばおいおいと泣いて墓を作る後輩の姿に、八左ヱ門は少なからず驚いた。
驚いたし、同じように泣いたりは出来なかったが、そこにどうしてか違和感は感じなかった――
岩の温さにまだのぼせてたまま、返事をせずにぼんやりと回想を続けていると、次第に一年の後輩たちまでこちらにわいわいと手を振ってきた。
「先輩、まだ寝てるんですかー?起きてくださーい!」
「先輩あっちに大物がいましたよー!」
次第に賑やかしくなってくる川辺へ向けて、おーうと一つ返事をくれて、伸びをして。
八左ヱ門は飛沫のあがる川面の上を高く、跳んだ。
委員の仕事は結局採集だけで潰れたが、最後に犬の散歩が残されていたことに気がついた八左ヱ門は、疲れた後輩達をとりあ えず帰し、再びひとり出かけていった。
そして、ようやく厘賃賃を連れた八左ヱ門が飼育小屋に戻る頃には、辺りは淡い鴇色のもやに包まれて、暮れかけていた。
飼育小屋の入り口でしゃがみ込み、犬の首に巻いた縄を緩めて外してやる。
厘賃賃はかつて猛犬と呼ばれた番犬なのだが、今はすっかり馴れたものだ。
白いたてがみをごりごりとかいてやれば、今も変わらぬ強面でうっとりと目を細める。
犬なのだから、微笑むわけでもないし、物を言う訳でもない。
しかし無言のまま交わすこの信頼が、八左ヱ門は心底愛おしいと思う。
そのままひとしきり撫でてやって、やれやれと安堵しながら小屋から出たところで、八左ヱ門は思わずぎょっと立ち止まった。
校庭へ続く築地の際辺りに、ごちゃごちゃと暗い塊が蠢いている。
よく目を凝らせば、それは小さくしゃがみ込んだ下級生達の丸い背だった。
「おい、どうした……」
元気のない様子を心配して駆け寄ると、一番すみの三治郎が八左ヱ門を振り向いて見上げた。
「先輩、今日採ってきた蜉蝣が」
その目線がそろりと辿る先に、転がっている空の虫かご。
「あ」
できたぞ、という孫兵の涙声に覗き込めば、泥だらけの手が小さい土饅頭をぺたぺたと押し固めているのが目に入った。
いつものように、涙をいっぱいにためているのであろう孫兵は、それでもしっかりと手を合わせて失われた命に祈り始めた。
やがて三治郎が倣うように手を合わせ、虎若、一平も。
孫次郎は、すすり泣く孫兵につられるように、ぽろりと涙さえ零した。
それを皮切りに、あちこちから鼻をすする音が聞こえ始める。
八左ヱ門は瞳を閉じて、青空を高く舞っていた蜉蝣たちの輝きを思った。
今土に還る彼らと、まだ生きねばならぬ自分達。
遠く切り離されてしまった哀しみが、心にぽっかりと寂しい穴を開けている。
それでもやはり、八左ヱ門は彼らと一緒に泣こうとは思わなかった。
代わりに、いよいよ本格的名泣きが伝染し始めた後輩達の傍にしゃがみ、にっかりと笑ってその小さい頭を順繰りに撫でてやった。
撫でられて、一層しゃくりあげる孫兵の頭を、ぐりぐりと、乱暴なほどにこね回しながら、八左ヱ門は誰も間違っていないのだと、確かにそう思った。
**********
意味不明なんじゃないかと心配です。
言いたいことは、
・孫兵は生き物を友人として見ている
・竹谷の生物観は孫兵と全く同じではないが、根底は似たものがある
・竹谷が孫兵から学んでいることもある
・それが後輩達をやや影響し始めている
・竹谷はそれを見守り、受け止めている
・人の数だけ生物観があり、それは誰も間違っているわけではない
わかり・・・ませんよね。
うーん。
もう少し、練ります。
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