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2025年07月01日
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白妙に 3

2009年01月10日
三つ目になります。

 
ぎこちなく固まりながらも、存外素直に頷いた留三郎を見て、仙蔵は密かに胸を撫で下ろした。
去る秋の日の別れ際、しぶる伊作から多少無理を言ってでも聞きだした甲斐があったというものだ。
 
――留三郎に言う事を聞かせる方法?
そうだな、ああ見えて意外と気の小さい所があるからなあ。
・・思いがけぬ相手に、強気に出られると弱いかもしれない。
まあ、得心しなければ動かないけどね――
 
いっそ斬り合うことも覚悟して仕掛けた夜襲であったが、流石六年肩を並べた者の見解は確かだと仙蔵は感心する思いでふと浮かんだ笑みを深くした。
方や留三郎は、そのしたり顔を面白くなさげにちくりと睨む。
 
「何笑ってんだ」
「いや、思いがけず素直に応じたと思ってな。」
「まあな」
 
生まれついて鋭い目線を仙蔵からふいと反らし、留三郎はどっかりと円座に胡坐をかいた。
一瞬、落ちた沈黙に、室内のほの暗さが重くのしかかる。
風のない、酷く静かな夜だった。 
 
「正直な所、俺もずんどまりだったからな」
「・・・この城で、何が起こっている」
 
仙蔵は立ったまま動かずに留三郎を見下ろした。
六年間、同級として切磋琢磨するうち、共に成長してきた無駄のない体躯。
その逞しい肩を、見えぬ重圧が軋ませる音が聞こえるような気がした。
 
「話せ」
 
促す仙蔵の言葉は、きっぱりとした口調の裏に常にない柔らかさを含んで、座したまま中空を睨む留三郎の胸に響いた。
 
 

**********************
 
 
私は留さん気が小さい説を支持します。
意外と伊作のほうが豪胆な性格してると思うんですよね。
ちなみに、私自身は伊作寄りの性格なので、気の小さい人が大好きです(最低!)。
うちの留さんがヘタレがちなのはそのせいです。
・・・ごめんなさい。
二次創作は妄想の産物なので、どうぞ許してください。

思いがけず、愛せるシーンになりました。
仙蔵、好き!

 
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