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2025年07月13日
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つづき・・・・
2010年01月11日
というか、焼き直ししつつ。
うーん。
読みにくくないか心配です。
但馬の国の戌亥には、因幡との国境を守るように、険しい山脈が連なっている。
利吉のふるさとである氷ノ山は、それらの中でも一際高く天空にせり出しており、山中から望む星々は、今宵も降り落ちそうな鮮明さで青白く瞬いていた。
その仄明りが、行く手の闇に積雪を白々と浮き上がらせ、反対に森の影を漆黒に塗り染める。
夜を通して帰路を急ぐ利吉にとり、天空の星々は闇に浮かんだ、只ひとつのの道しるべであった。
やがて地平からようようと明るむにつれ、くっきりと紫紺に浮かんでいたそれは、見上げるごとに輝きが褪せてゆき、ついに月白の空に解け消えた。
日の昇る気配は大気に満ち、風を呼ぶ。
雲ひとつない、快晴の朝である。
そしてそれは、新しい年の訪れでもあった。
しかし凍てついた山中に何の寿ぎも、それを交わす相手もあるでなし。
利吉は木立を縫って山腹へ至る小道―――もとは古い獣道であった―――を、澱みない足取りで登っていった。
修行に明け暮れた少年の頃、幾度となく登り下りした道である。
最後の難所に差し掛かり、勾配はいよいよ厳しくなってきた。
額にうっすらと汗を浮かべる利吉の頭上で、葉を落とした木々の梢は、明るい空へ手を伸べている。
さらさらと微かな音をたて、雪の零れたあたりをつい見やると、枝を漏れた光が、痛いほどに瞳をさした。
宵闇にどれほど馴染んだ利吉であろうと、眠らずに過ごした翌朝は五感がささくれる。
雪のした古木の根を足がかりに、急勾配を登りきったところで、利吉は不意に足を止めた。
途端、体中にたまった疲労がせきを切り、どっと背から圧し掛かる。
林間をなだらかに登りながらくねるこの一本道を一刻ほど辿れば、母待つ家が見えてくるだろう。
約束どおりに元旦を生家で迎えることは叶わなかったが、ようやくここまで帰ってきた安堵に、緊張の糸が柔らかくほどけていく。
利吉は静かに瞼を閉じ、透き通る天を仰いだ。
ゆっくりと腹から吐いた白い息は、中空にゆるゆるとたなびいて、やがて消えた。
古木に背を預け、雪だまりに脚を投げ出す。
熱をもった脛に、じわじわとしみる冷たさが心地よい。
利吉は暫くじっとしたあと、すいと茂みに手を伸ばして、手ごろな氷柱を折り取った。
口に含むと、甘い水がゆるやかに解け、涼しく咽を潤していく。
さすがに茫洋としてきていた意識が、ひとさしの水に凛と冴えた。
咥えたまま首をあげると、東の空を、小鳥の群が一散に飛んでくるのが目にはいった。
賑やかしく鳴き交わす声がみるみる近づいたとた思えば、あれよあれよという間に、目の前の樹冠に鈴なりになった。
鶸である。
明るい山吹色した羽根で軽く羽ばたいて梢に遊び、そこここで無心に餌を探している。
賑やかな朝餉の様子をぼんやり眺めていると、少し遅れてきた一羽が、雪の重みで垂れ下がる落葉松の枝へ降り立った。
さらに細い枝に飛び移ると、そこに逆さにつかまって揺れながら、小ぶりの松かさを啄ばんでいる。
一つ、ふたつ、つつく度に忙しく首を動かしては、ちるちると機嫌よい声をあげた。
つめたく尖った氷柱の先端を咥内で弄びながら、利吉は眩しく双眸を細める。
至極、器用なものである。
昨今、山城であれ、平城であれ、郭の内には、松が好んで植えられる。
松は成長がはやいうえ、有事の際はそれを逆茂木にしたり、究極には食料にすらして食いつなぐことができるからだという。
ところが忍び入る側とって、これは大変厄介なことである。
大抵、人の手で育てられた松は真直ぐ天に伸びる上、側枝は折れやすく、足がかりが少ない。
樹皮も葉も、ささくれてとても居心地がよいとは言えない。
しなやかな枝を大らかに拡げる稜の木や欅と違い、これほど潜むに難儀する樹種もないのである。
勿論、かつて氷ノ山の子天狗の名を欲しいままにした利吉には、木の葉隠れならば町育ちの忍なぞには決して劣らぬ自負があった。
それが、いつまで経っても拳ほどの大きさもない、小鳥の身のこなしに叶わぬのである。
**************
そんなに鶸が書きたいのか・・・そうかそうか・・・・
という感じのお話ですね。
もちろん、その通りです。
うーん。
読みにくくないか心配です。
但馬の国の戌亥には、因幡との国境を守るように、険しい山脈が連なっている。
利吉のふるさとである氷ノ山は、それらの中でも一際高く天空にせり出しており、山中から望む星々は、今宵も降り落ちそうな鮮明さで青白く瞬いていた。
その仄明りが、行く手の闇に積雪を白々と浮き上がらせ、反対に森の影を漆黒に塗り染める。
夜を通して帰路を急ぐ利吉にとり、天空の星々は闇に浮かんだ、只ひとつのの道しるべであった。
やがて地平からようようと明るむにつれ、くっきりと紫紺に浮かんでいたそれは、見上げるごとに輝きが褪せてゆき、ついに月白の空に解け消えた。
日の昇る気配は大気に満ち、風を呼ぶ。
雲ひとつない、快晴の朝である。
そしてそれは、新しい年の訪れでもあった。
しかし凍てついた山中に何の寿ぎも、それを交わす相手もあるでなし。
利吉は木立を縫って山腹へ至る小道―――もとは古い獣道であった―――を、澱みない足取りで登っていった。
修行に明け暮れた少年の頃、幾度となく登り下りした道である。
最後の難所に差し掛かり、勾配はいよいよ厳しくなってきた。
額にうっすらと汗を浮かべる利吉の頭上で、葉を落とした木々の梢は、明るい空へ手を伸べている。
さらさらと微かな音をたて、雪の零れたあたりをつい見やると、枝を漏れた光が、痛いほどに瞳をさした。
宵闇にどれほど馴染んだ利吉であろうと、眠らずに過ごした翌朝は五感がささくれる。
雪のした古木の根を足がかりに、急勾配を登りきったところで、利吉は不意に足を止めた。
途端、体中にたまった疲労がせきを切り、どっと背から圧し掛かる。
林間をなだらかに登りながらくねるこの一本道を一刻ほど辿れば、母待つ家が見えてくるだろう。
約束どおりに元旦を生家で迎えることは叶わなかったが、ようやくここまで帰ってきた安堵に、緊張の糸が柔らかくほどけていく。
利吉は静かに瞼を閉じ、透き通る天を仰いだ。
ゆっくりと腹から吐いた白い息は、中空にゆるゆるとたなびいて、やがて消えた。
古木に背を預け、雪だまりに脚を投げ出す。
熱をもった脛に、じわじわとしみる冷たさが心地よい。
利吉は暫くじっとしたあと、すいと茂みに手を伸ばして、手ごろな氷柱を折り取った。
口に含むと、甘い水がゆるやかに解け、涼しく咽を潤していく。
さすがに茫洋としてきていた意識が、ひとさしの水に凛と冴えた。
咥えたまま首をあげると、東の空を、小鳥の群が一散に飛んでくるのが目にはいった。
賑やかしく鳴き交わす声がみるみる近づいたとた思えば、あれよあれよという間に、目の前の樹冠に鈴なりになった。
鶸である。
明るい山吹色した羽根で軽く羽ばたいて梢に遊び、そこここで無心に餌を探している。
賑やかな朝餉の様子をぼんやり眺めていると、少し遅れてきた一羽が、雪の重みで垂れ下がる落葉松の枝へ降り立った。
さらに細い枝に飛び移ると、そこに逆さにつかまって揺れながら、小ぶりの松かさを啄ばんでいる。
一つ、ふたつ、つつく度に忙しく首を動かしては、ちるちると機嫌よい声をあげた。
つめたく尖った氷柱の先端を咥内で弄びながら、利吉は眩しく双眸を細める。
至極、器用なものである。
昨今、山城であれ、平城であれ、郭の内には、松が好んで植えられる。
松は成長がはやいうえ、有事の際はそれを逆茂木にしたり、究極には食料にすらして食いつなぐことができるからだという。
ところが忍び入る側とって、これは大変厄介なことである。
大抵、人の手で育てられた松は真直ぐ天に伸びる上、側枝は折れやすく、足がかりが少ない。
樹皮も葉も、ささくれてとても居心地がよいとは言えない。
しなやかな枝を大らかに拡げる稜の木や欅と違い、これほど潜むに難儀する樹種もないのである。
勿論、かつて氷ノ山の子天狗の名を欲しいままにした利吉には、木の葉隠れならば町育ちの忍なぞには決して劣らぬ自負があった。
それが、いつまで経っても拳ほどの大きさもない、小鳥の身のこなしに叶わぬのである。
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そんなに鶸が書きたいのか・・・そうかそうか・・・・
という感じのお話ですね。
もちろん、その通りです。
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